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(東京)「リード・ザ・チャージ(Lead the Charge)」が本日発表した自動車産業のスコアボード第2版で、日本の自動車メーカーのトヨタ自動車(以下、トヨタ)と本田技研工業(以下、ホンダ)が最下位を占めました。上位のフォード、メルセデス、テスラに対し、温室効果ガスの排出削減、環境保護、サプライチェーンの人権侵害の排除という点で大きく遅れをとっています。 

(東京)「リード・ザ・チャージ (Lead the Charge) 」が本日発表した自動車産業のスコアボード第2版で、日本の自動車メーカーのトヨタ自動車(以下、トヨタ)と本田技研工業(以下、ホンダ)が最下位を占めました。上位のフォード、メルセデス、テスラに対し、温室効果ガスの排出削減、環境保護、サプライチェーンの人権侵害の排除という点で大きく遅れをとっています。

フォードは、自動車産業の中でも最高水準の責任ある鉱物の方針とデュー・ディリジェンスのプロセスを有していることで、昨年トップのメルセデスを抑えて今年は1位に躍り出ました。一方、テスラは、製品ごとのサプライチェーンのスコープ3排出量を自動車メーカーとして初めて開示したことに加え、バッテリーリサイクルのパフォーマンスの向上や、人権デュー・ディリジェンスと移行鉱物の責任ある調達プロセスの改善に取り組んだことを受けて、総合スコアの上昇幅が最大となり、9位から3位にスコアボードの順位を上げました(1)。

ホンダとトヨタは、電気自動車(EV)への移行のパフォーマンスが最低レベルにあるだけでなく、サプライチェーンの脱炭素化の指標や人権の尊重のパフォーマンスも不十分です。スコアボードの「化石燃料を使わない、環境面でサステナブルなサプライチェーン」 部門において、4つの項目のうちスコアが上昇した項目が1つもなかったのはトヨタだけでした。 トヨタはこの1年で進歩が見られなかったため、12位から15位に順位を落としました。トヨタの総合スコアが7%であるのに対し、ホンダも8%と最下位に近い数字です。日産自動車のパフォーマンスは、それよりはわずかに良かったものの、欧州と米国の自動車メーカーには遅れを取っています。

「米国、欧州、韓国のすべての自動車メーカーがとトヨタを上回っていることから、この順位が日本の自動車産業への警鐘となることを願っています。トヨタとホンダは、自社のサプライチェーンの浄化を始めなければ、すでにかなり先を行っている韓国、米国、欧州の自動車メーカーに加え、急速に改善している中国の自動車メーカーにも追い抜かれるリスクがあります」と、サンライズ・ プロジェクトのクリスアルフォートは述べています(1)。

また、自動車に使用される鋼材の脱炭素化への機運も顕著に見られました。鉄鋼業は依然として最も汚染をもたらす産業の一つであり、世界の温室効果ガス排出量の7〜9%を占めています。2024年のスコアボードでは、自動車メーカーの3分の2以上が、グリーンスチール(温室効果ガスが発生しない、または排出量が極めて少ない方法で製造される鉄)に向けた措置を講じたことがわかりました。ホンダとトヨタはそれに加わっておらず、鋼材サプライチェーンの脱炭素化のスコアは0%でした。自動車メーカーはサプライチェーンの排出量にも早急に取り組まなければ自社の気候目標を達成できず、日本の鉄鋼業界も石炭に固執し続けています(2)。

スティールウォッチのキャンペーン・ディレクターである冨田沓子は、「この10年で日本の鉄鋼業界が下す決定は、日本の自動車メーカーにとって大きな資産となるか、あるいは多大な負債となるかのどちらかでしょう 」と話します。「一番重要な問いは、日本製鉄などは汚染をまき散らす石炭を使用する鉄鋼生産に依存し続けて、トヨタとホンダに対し、日本のサプライヤー以外に目を向けるか、あるいは脱炭素化に失敗して、変化する世界市場から締め出されるかという選択をさせるのですか、ということです。日本の自動車メーカーと鉄鋼メーカーは、共に進化するか、共に停滞するかのどちらかです。」

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報告書へのリンク(日本語): https://leadthecharge.org/ja/scorecards-summary/

メディア関連の問合せ

松本志織
(スティールウォッチ アジア コミュニケーション、リサーチ担当)
shiori@steelwatch.org, 070-8411-0256

  1. 中国の自動車メーカーは、EUのデュー・ディリジェンスの指令案や炭素国境調整メカニズム(CBAM)など、EU規制に急速に適応しています。このことは、日本の自動車産業にとって時間切れが迫りつつあるという事実を際立たせています。気候変動による気温上昇を1.5℃未満に抑えようと世界が取り組みを強化する中、日本の自動車メーカーが対策を講じなければ日本の輸出市場は縮小するでしょう。
  2. “Auto industry risks missing climate goal by 75% -industry-backed study.(自動車業界の排出量が気候目標を75%上回る可能性、業界による調査で判明)” Reuters(ロイター). 2023年2月8日. https://www.reuters.com/business/autos-transportation/auto-industry-risks-missing-climate-goal-by-75-industry-backed-study-2023-02-08/